日本人は球際でどう勝負すべきなのか。
デュエルの精度を上げるためにもっとも大事なこと――岩政大樹の「現役目線」
「現役目線」――サッカー選手、岩政大樹が書き下ろす、サッカーの常識への挑戦
■アントラーズに入って受けた衝撃「通用しない」
僕は大学を卒業し、鹿島アントラーズに加入しました。決してすぐにプロで通用するとは思っていませんでしたが、とは言っても大卒だったので、即戦力にならなくてはならず、それなりの覚悟を持っていました。
しかし、加入してすぐに一種のカルチャーショックを受けました。というのも、練習で相手選手と対峙しているとき、僕は全くと言っていいほど、相手の動きを"読めなかった"のです。
チームには当時、小笠原(満男)選手、本山(雅志)選手、野沢(拓也)選手というマジカルな天才がいました。彼らは、僕が「こうくるだろう」と予測するプレーの逆をいつもとってくるのです。
初めての感覚でした。
練習をしながら、なんか気持ちがふわふわしてきて、もうヤケクソにプレーしてしまう感覚と言えばいいでしょうか。
このレベルの選手たちはいつもギリギリまで相手を見ていて、相手の動きによってキックの種類や判断を変えてくるのだと知りました。
僕だって一応、大学ナンバー1ディフェンダーという触れ込みでプロ入りした選手でした。技術的にはまだまだでも、守備に関してはある程度やれるつもりでした。しかし、その自信は一週間もしないうちに崩れ去り、僕は「迷子」になってしまいました。